
ピストルズやストラングラーズのアルバムは、名のあるプロデューサーによってダイナミックに仕上げられたコマーシャルなレコードだった。パンクだとか何だとかは置いといてもカッコ良いロックアルバムだと思う。それに比べたらクラッシュの1stアルバムはチープなガレージサウンドでとっつきにくかったなあ。ルックスは最高だと思ったけど音の方は.... 高2の俺はその頃小遣いの許す限りあらゆるロックと名のつくレコードを買い漁り、外タレのコンサートにもよく行っていて、それなりに耳が肥えてきてたからね。
ただ、大好きだったハードロックにも飽きて来ていて、何か新しい刺激的な音楽はないものかと思っていたんだ。パンクはそんな時に嵐のようにやってきて、興奮させられたんだけど、ピストルズがアッという間に解散しちゃって、ダムドは2ndでコケて、と、何か段々とつまらなくなって行きそうな気配もあった。ビートルズやストーンズやキッスのように、自分が心底のめり込めるようなパンクバンドも見つけられないままだったし、それも大きかったかも。
そんなある日学校帰りに吉祥寺の"NATTY DREAD"っていうレコード屋さんに友人と二人で行ったんだ。そこはレゲエとパンクの専門店で、輸入盤が中心だったと思う。そこで再会したのだ、クラッシュに!ロゴの位置が上にある変な1stアルバムが売っていて、裏を見ると見慣れない曲が沢山並んでいたので、友人に「これ何だ?」と尋ねたらそいつは詳しくて、「これは主にシングルの曲だよ。わーっ、ハマースミスも入ってるじゃん!」とか一人で興奮していた。クラッシュの7インチなんて聴いたことがなかったし、2ndの「動乱」はカッコ良かったからクラッシュの株は俺の中で上昇しつつあったんだ。結局俺はそのレコードを買い、家に帰って聴いてみた。そしたら......!!
それから毎日擦り切れる程聴いては盤をひっくり返していた。ホコリを被ったままのギターを再び弾き始めたのもその日からだよ。

ジョーにはやはりロックンロールが似合う。このアルバムは最高だ!
オープニングナンバー「COMAGIRL」の疾走感! かつてこれほどシンプル&ストレートなロックンロールをソロになってから聴かせてくれただろうか? これは真に中〜後期クラッシュ型の力強いR&Rでロンドンコーリングあたりに入っていてもおかしくないだろう。
ジョーが例のテレキャスをザクザク言わせながら歌ってる様が目に浮かぶ。世界を再びツアーして回って、何万人もの聴衆の前に立ち、益々充実して来たジョーの会心の1曲という気がするね。この曲を始め、今回は割とシンプルな曲が多く、音数も少ない感じ、それはアルバムが未完成だったという事なのかも知れないけど、それがかえってジョーの歌をより身近に感じさせてくれる。前作の「GLOBAL A GO-GO」も素晴らしい作品だったけど、ちょっと力の入り過ぎという印象もあった。曲調もタイトル通り"世界1周 音楽の旅"みたいだったし、アレンジが凝っていて音数も多かった。自身の追及する音楽はそのままにもっとよりダイレクトにライヴ映えする曲を入れてアルバムを出そうとジョーは考えたんじゃないかな、俺はそう思うんだ。
本当に残念だけど、このアルバムの曲を生で聴く事はもう出来ないし、この次はどんなアルバムで俺を興奮させてくれるんだろうなんて期待ももう叶えられない。そう思うとたまらない気持ちになってくるよ。ボブマーリィの生前最後のアルバム「UP RISING」の最終曲「REDEMPTION SONG」のカバーをやってるなんて運命の悪戯なのだろうか? その曲ではアコギをバックにジョーはこう歌う「俺が今まで歌ってきたのはすべて救いの歌だけだ。この自由の歌を一緒に歌ってくれないか」と。泣けてくるじゃないか。
俺はクラッシュ時代からずっとあなたの歌を、声を聴き続け、何か困難にブチ当たるたび、クラッシュナンバーを口ずさみ、あなたの歌声に励まされてきた。そしてここまでやって来れたんだよ。ありがとう、ジョー。

前回の原稿を書いて不安になった、グランドファンクなんて皆知らねえだろう!
ま、俺もさ、結構歳喰ってるからさ、古いロックの話で熱くなってしまうわけだ。その辺勘弁してくれい。
にしてもだ、日本に限らず、グランドファンクの評価は不当に低いような気がしてならない。
自分が夢中になったバンドだから余計にそう思うのかも知れないけれど、10数枚のオリジナルアルバムは殆どゴールドディスクを獲得してるし、ビートルズもやったシェイスタジアムではチケットはアッという間にソールドアウト、レッドツェッペリンの前座で登場したデトロイト公演では、ツェッペリンを食う人気を博し、1971年には初来日し、雷雨の中、後楽園球場で熱狂のコンサートと、伝説には事欠かないスーパーバンドであるのだ。
このアルバムは、彼らの代表作で、タイトル曲は全米No.1ヒットになった名盤だ。前作からキーボーディストを加えて、4人組となり、初期の荒々しさから一転、洗練されたハードロックバンドに変身を遂げた作品でもある。リズムセクションのタイトさは特にカッコ良いが、俺はG&Vo.のマーク・ファーナーの歌いっぷりが大好きだった。突き抜けるように真直ぐなその声は本当に気持ちが良い。
レコードの初回プレス盤にはロゴステッカーが付いていて、通なロックファンは学生カバンに貼って通学したものだ。あ、そうそうレコード盤もジャケットと同じ金色のカラーディスクだったな。