
アルバムカバーは"KING" ELVISの1stアルバム、中の写真のコラージュ、手書きの歌詞、クレジットはSTONESの「メインストリートのならず者」への完全なオマージュ。1979年、クラッシュはルーツロックとレゲエに正面から取り組み、この最高傑作を生み出した。当時ジョーは「パンクの博物館行きはゴメンだ!」と発言し、「PUNK=CHANGE」つまり音楽スタイルを意味しない、と宣言した。
ピストルズの解散と共に急速に終焉へと向かうパンクムーヴメントの中で、クラッシュには過大なプレッシャーがのしかかっていた筈である。ジョーたちは悩んだに違いない。これから何処へ向かおうかと。そして一世一代の賭けに出た。バンドのポテンシャルを信じ、ルーツロックにチャレンジしたのだ。これは後戻りではなく、クラッシュにとってあくまでも新たな挑戦だったと思う。そこがこのアルバムの素晴らしいところだ。
バンドは成長するものだ、表現欲求もより幅広くなるだろう、もうパンクの固定概念にとらわれる事なく音楽をクリエイトしていきたい、そして、そのチャレンジ精神が見事な成果を上げ、その輝きは今日まで失われる事はない。言い換えればそのチャレンジ精神が今日までこのアルバムを輝かせ、クラッシュへの確固たる評価に繋がっているという事だ。
ただリアルタイム派の一人として言わせてもらえば、当時このアルバムへの風当たりは強かった。一般的な知名度は上がったけれど、コアなパンクファンは口々に「クラッシュは終わった」「オールドウェイヴに寝返った」とボロクソだった。「皆わかっちゃいない! クラッシュは新たな一歩を踏み出したんだ。パンクロックにしがみついてるヤツこそオールドウェイヴだ!」と"I'M NOT DOWN"を聴きながら俺は一人熱くなっていた。
そういえば日本盤発売日が待ちきれなくて友人と下北沢の輸入盤屋へ探しに行ってジャケットを初めて見た時の衝撃を今でも覚えている。ちょっとピンボケだけど、ベースを叩き付けるポールシムノンは余りにカッコ良過ぎた! グッとガマンして日本盤を待つ事にしたのは訳詞が読みたかったから、ポスターも付いていたし待って良かった。内ジャケの小さな写真を一枚一枚食い入るように見ながら聴いたなぁ。
もしクラッシュがセカンドの「動乱」発表後に解散していたとしてもその名はパンクシーンをリードしたバンドとして今も語り継がれていた事だろう。"COMPLETE CONTROL"や"WHITE MAN〜"といった名曲だけで、その評価は俺の中で絶対的なモノだよ。だけどクラッシュの本当の戦いはここから始まり、アメリカでの成功〜世界的なロックンロールバンドへの道を歩み始めた。変わる事のない潔い生きざまとチャレンジ精神を持ってあらゆる音楽を取り入れ、俺に毎回ショックを与えてくれた。クラッシュにはロマンがあった。何と言うか少年を駆り立てるロマンがね。
俺のクラッシュ熱は更に高まり、ビデオクリップを観て頂点に達し、25年が経とうとしている今、まだギターを弾いている。このアルバムのスピリットがストラマーズを誕生させ、今も俺達をつき動かしているんだよ、なあ そうだろIWATAよ....