
1977年以来、来日する度必ず観に行っていたキッスだが、今回とうとう行くのを辞めてしまった。体調がイマイチな上、個人的に忙しくて、しかもACBのライヴ当日、前日、前々日という公演スケジュールだったので、前売りチケットも買っていなかったのだ。誰か行ったのかな?話を聞きたいね。
既にファンの間では有名な話だけど、キッスというのは「ハードロック版ビートルズ」を目指していた。それぞれのメンバーが独自のキャラクターを持ち、全員がVo.を取れるバンド。結成当時からその辺りには相当のこだわりを持っていたらしい。(そのためのあのメイクだったと言われる)
中心メンバーがサイドギターのポールスタンレイ(ジョンレノン役)、ベースのジーンシモンズ(ポールマッカートニー役)というのも共通してるし、リードギターのエースフレイリー(ジョージハリスン役)とドラムスのピータークリス(リンゴスター役)が何曲かで歌うというのも一緒だ。そしてステージにはマイクスタンドが2本、リードギタリストの前にはマイクが無く、エースがコーラスを入れる時にはどちらかのマイクに近付いて歌うという所まで同じなのだ。ジーンシモンズのスクールバンド時代の写真には、ヴァイオリンベースを弾いてる姿がしっかり写ってるもんね。ビートルズがアイドルだったのは明白だ。
さて、当時日本未発売にして初期スタジオアルバムの最高傑作がコレ! 『ALIVE!』の見開きジャケットの内側を見ると左側にメンバーの直筆メッセージ、右側には「MORE KISS!」とあってアルバムカヴァーらしきものが3枚写っていた。1枚は見た事があるやつだったけど、他は....?それでキッスがもう2枚アルバムを出してる事を知ったんだ。モノ凄く聴いてみたいと思ったよ。『ALIVE!』収録曲のオリジナルヴァージョンを。そう、キッスが日本でデヴューしたのは1975年の3rdアルバム『DRESSED TO KILL』からで、その頃の印象は一部のマニアックなモノ好きが密かに聴いてる変なバンドという感じでインパクトは凄くあったけど、とても聴く気にはなれなかったもんな。『ALIVE!』のあまりのカッコ良さにビックリした俺のような者は、慌ててバックカタログに注目し、日本で発売されていない2枚のアルバムをどうにか手に入れたいと思うようになった訳なんだ。その頃輸入盤というモノの存在をミュージックライフの広告で知った俺は、ある日友人と出掛けたぜ、電車を乗り継いで「聖地」(笑)西新宿へ!.... 「キッスの1st、2ndを探そうぜ!」と意気盛んに行ってみたものの撃沈....(笑)
店の場所の下調べも足りなかったせいもあるが、しょうがないから「オム」という店でジミーペイジのポスター買って帰ったっけ。だから数日後たまたま親に連れられて銀座へ行った時に入った山野楽器で日本語のいっぱい書かれたこの趣味の悪いジャケットを見つけた時は大騒ぎしてしまった。手、震えたもん、嬉しくて。次の日さっそく友人を家に呼びつけて得意顔で聴かせてやったぜ....「GOT TO CHOOSE」「PARASITE」「LET ME GO, ROCK&ROLL」「WATCHIN' YOU」....最高だぁ! 1stアルバムは代表曲揃いだけど、音がショボくて『ALIVE!』を期待して聴くとガクッと来る。その反省を踏まえたこの2ndは異様なヘヴィさとラウド感、熱気に溢れていて俺は好きだなぁ。『DESTROYER』や『ROCK AND ROLL OVER』も良いけどさ....
キッスファンになったばかりの頃、俺のまわりじゃ、親しいロック仲間(クラスに2〜3人だな)を除いて誰もキッスなんて知らなかった。キッスは「俺だけが見つけた最高のバンド」であり、他人がよく知らないバンドを聴いてるぞという優越感に浸れる存在でもあった。まさかあれ程人気が出るとは思わなかったし、こんなに長続きするとは.... パフォーマンスも衣装もステージセットもとことんエスカレートするだけさせて、そのうちネタが尽きちゃって燃えつきてしまうバンド、それがキッスだと。ビッグネームとなってからは生き延びるために無節操とも思える程に、音楽性を変化させたり、メンバーチェンジや、メイクを取ったり、再びメイクをして復活したり、実は激動の歴史をその背に負っているバンドなのだ。しかしバンドの原点がここにある限り、俺はこれからもファンであり続けるだろう。
最後にアルバムジャケットにおけるビートルズの影響について、1stは『MEET THE BEATLES』、この2ndは『MAGICAL MYSTERY TOUR』、『DRESSED TO KILL』は『ABBEY ROAD』だな、『DYNASTY』は『LET IT BE』と、ほらね!