
リアルタイムで聴いたのはここまでだったな。80年代を迎え音楽シーンはパンク・ニューウェイヴ、ディスコにテクノと様々に移り変わりMTV時代もやって来た。アルバム指向だった70年代から再びシングル中心の時代になって行ったのが80年代ではないか。勿論それはパンクがもたらしたものだ。クイーンも77年の『NEWS OF THE WORLD』あたりからそれまでの大作指向を捨てつつあったが、まだどこか迷っているようでもあった。新しい方向性を探っていたのだろう。そしてとうとうこのアルバムから、一曲一曲がコンパクトにまとまり、独立した曲調とシングルヒット集的なポップさを持つように変わってしまい、アルバムのトータル性等も殆ど無くなってしまった。
俺としてもパンク・ニューウェイヴにドップリの時代だったから70年代のやたら長ったらしいハードロックなんかもう聴いてられねぇよという感じで、クイーンのこの変化をむしろ歓迎していたんだ。先行シングルの「CRAZY LITTLE THING CALLED LOVE」はエルヴィス プレスリーのようなロカビリーで、ちょうどストレイキャッツの登場とも重なって、ショックを受けたし、最高の曲だと思ったよ。クイーン初の全米NO.1獲得シングルだったしね。次の「ANOTHER ONE BITES THE DUST」は当時大流行してたシックのようなディスコナンバーで、これまた良く出来ていたな(同じく全米NO.1)。クラッシュの「THIS IS RADIO CLASH」はこの曲を相当意識してると思う。この2曲とも何かパロディっぽい雰囲気があったけどその軽さが80年代という時代にマッチしたんだと俺は思う。「CRAZY LITTLE〜」に大いに刺激されたジョンレノンが再びレコーディング意欲を取り戻したという有名なエピソードもある。そうロックンロールの歴史は模倣と搾取の繰り返しなんだよ。
初期のアルバムは聴き応え十分でカッコ良いけど、反面ちょっと疲れてしまうような所がある。あまりに力作過ぎてね。通して聴くともうお腹一杯だ。それに比べてこのアルバムはサラッと聴けるのが良い。腹八分目という感じだ。楽曲のクオリティも高いし、古臭くならない名盤だと今は思える。
だけどだけど俺は当時ダメだった。
あの短髪・口髭フレディだけは、許せん! 今となってはもう見慣れてしまったからどうという事もないけど、当時受けた嫌悪感は相当なもので、インナーバッグの写真を見てはタメ息で、内容までクソに思えてしまったのだ。俺は悲しかったぞ....(笑)
クイーン離れの決定打は俺個人の音楽の趣向性の変化のみならず、フレディのルックスの激変にあったという事になる。俺にとって、クイーンは、やはりブリティッシュロックの新星で、華麗なる貴公子でなければ.... あまりにもそのイメージが強過ぎたのだろう。晩年、エイズで痩せこけたフレディが口髭を剃り、長髪のカツラを被ってるビデオクリップがあるが、デビュー当時を思わせるその姿にギョッとさせられた。しかしそれは死を覚悟した最後の姿でもあった。ああ....