2005年08月のロックンロール・レコード

[SIDE 24]  ALL MOD CONS / THE JAM(1978)

名作3rdアルバム、11月リリース。ジャムで1枚と言われたら迷うけど、やはりこれを選ぶ。前作『THE MODERN WORLD』は良いメロディの曲が入っていたけれど一般的には失敗作と見なされ、チャート的にも1stを下回り酷評された。その右寄りの(?)バンドスタンスも批判対象になった事は前回にも書いたけど、それも時代か…。パンクシーンに気配りしながらも他にも色々やりたい事があるし…といった迷いが感じられるアルバムではあった。俺は良いと思うがなぁ、確かにツメの甘い楽曲と1stにあった緊張感には欠けるけど、表現の幅を拡げて行くんだというバンドの意思は感じられたもの。
批判攻撃に疲れた(ジルという恋人との恋愛に夢中だったという話もある)20才のポール ウェラーは情熱を失いスランプに陥ってしまったらしい、'78年4月から始まった3rdアルバムのレコーディングは打ち切られ、目標を無くしたまま故郷のサリー州 ウォキングへと帰ったポールはそこで自分を見つめ直して一から曲作りを始めた結果、見事な成果をあげる事になった。インスピレーションの糧としてキンクス等を聴きまくっていたらしい。アルバムにも収録されるそのキンクスのストレートなカヴァー「DAVID WATTS」と俺の大好きな「'A' BOMB IN WARDOUR STREET」のカップリング シングルを8月に、革新的でジャムサウンドの最初の到達点とも言える傑作「DOWN IN THE TUBE STATION AT MIDNIGHT」c/w フーの「SO SAD ABOUT US」(直前に亡くなったキース ムーンへの追悼曲)を10月に発表後、いよいよアルバムの登場となった。真に捨て曲無し!驚くべき成長である、弱冠20才の青年の作った曲が今もこの40男を唸らせる(泣…)。まったく才能ある奴ぁスゲェよ。くぅー!ここでジャムはジャムでしかない独自のサウンドとスタイルを確立してしまった。表現の深化と幅を感じさせる「MR.CLEAN」のドラマチックな曲展開。アコースティックギターのみで歌われるバラード「ENGLISH ROSE」の穏やかな美しさ(バックには汽笛と波の音が…)、本当に素晴らしい。幅を拡げたのは曲作りの面だけではなく、サウンドも見事だ。特にポールのギターはリッケンバッカーの硬質な響きにコンテンポラリーな奥行きとエコー感が加わって、以前とは違う何やら凄い音になっている。歌ウラの単音のオブリやリードをツインでハモらせたりと、才能バクハツといった所である。(いや随分勉強させていただきました。)俺は当時アコギも苦手だったから「ENGLISH ROSE」のスリーフィンガーを一生懸命練習したっけなぁ。今でも鳥肌モノなのはA面ラストの「IN THE CROWD」、キンクス的な楽曲も魅力だけど、後半一転してサイケデリックに展開、8ビートに載せてAのワンコードでひたすら繰り返されるセクションだ。ギターの逆回転リードやアルペジオの上で歌われるのは1stの代表曲「AWAY FROM THE NUMBERS」。そして2小節ごとに、まるで空間を切り裂くカミナリのように撃ち鳴らされるAコードの響き!「ジャカジャーン…!」というストロークは俺にとってギターを弾く目的のうち最も大事な要素である。これがカッコ良く響く事こそがロックなのだ、と思っている。そんな俺にとってのまさに理想の音がここで鳴っているんだ!この音は俺にとっての「ジャカジャーン…!」の基準であると言っても良いだろう。
アルバムは更にB面に移ると、ラストのクライマックス「…TUBE STATION」まで息もつかせないほど名曲のオンパレードだ。ビートルズみたいな「IT'S TOO BAD」とか最高に好きだなぁ。
ジャムは自らのルーツである60年代を新たな視線で捉らえ直し、来るべき80年代にむけて提示する事に絶対の自信を持ったのだ、このアルバムによって。もう迷いは無い、さらばパンクシーン、ジャムの快進撃は続く。
TO BE CONTINUED…
(2005.08.26)

[SIDE 23]  THIS IS THE MODERN WORLD / THE JAM(1977)

 1stから僅か半年後に発表された2ndアルバム。ここでは前作の勢いを継承しつつ新たな魅力を見せてくれている。自分で買った初めてのジャムのレコードなので何かと思い入れも深いものがあるな。
アルバムからの先行シングル「THE MODERN WORLD」は「IN THE CITY」と並ぶ初期の代表曲だ。しかもジャムは2ヵ月前の9月に2ndシングルを出したばかりなのだ、その曲のタイトルは「ALL AROUND THE WORLD」、そして「THE MODERN WORLD」を挟んで翌1978年2月には3rdシングル「NEWS OF THE WORLD」を発表、この5ヵ月に3枚のシングルリリースラッシュは凄かった!ワールド3部作と勝手に俺は呼んでるけど、どれも最高のビートR&Rだから。パンクはシングルなのだ!特に「ALL AROUND THE WORLD」は初期では最も好きな曲なんだ。うおお、血が騒ぐぜ!因みにベーシストのブルースフォクストン作の「NEWS OF THE WORLD」では若干19歳のポール ウェラーのカッコ良いギターソロが聴けて、ああこの人はギター上手いんだなぁと感心したものだよ。パンクなんて下手クソでもイイんだ!なんて俺にはとても思えなかったな、バカテクは必要無いけど、R&Rのカッコ良さを体現できる位の腕は最低限身に付けなきゃ…ってね。
 話が逸れちまったけど、このアルバムではポール ウェラーの極めて英国の文学青年的な世界が展開されている、パンクの波に乗って登場してきたジャムだが、精神は60年代のモッズのスピリットを現在に継承しようとしているのだ、コアなパンクスには嫌われた。(ピストルズやクラッシュは左翼でジャムは右翼ってか?ふん、くだらん!)それでもナイーブな感性でもって世界に出て行く決意のようなものが感じられるのだ。「LIFE FROM A WINDOW」や「TONIGHT AT NOON」ではアコースティック ギターがキラキラと響き、またそういう曲がこのアルバムの軸となっている。勢いに任せた1stより地味な印象があるが、聴き込む程に味わいがある作品だ。VOX,AC30アンプにプラグインしたリッケンバッカーサウンドのR&Rナンバー「STANDARDS」、「IN THE STREET TODAY」、「HERE COMES THE WEEKEND」等はフーと同じように強烈に英国っぽさを感じるし、一般的には我々日本人には解り難いメロディだと思うけど、一度ハマり込むと非常に魅力的な音なのだよ、こういうのはね。俺が当時のバンドでコピーした「I NEED YOU」も大好き、ラストはウィルソン ピケットの「IN THE MIDNIGHT HOUR」、これがまた最高のビートナンバーに仕上がっていて、やっぱスタックスやモータウンのR&Bもしっかり聴いてみるかな?なんて思わせてくれたものだ。(「THE MODERN WORLD」のB面にはシュープリームスの「BACK IN MY ARMS AGAIN」のライヴバージョンが入っていたし)
 才能が見事に開花する直前の、ダイヤの原石のような曲達が詰まったこのアルバムを俺は永遠に愛する。そう来たるべき、傑作3rdアルバムの登場に向けたマイルストーンでもあったのだ…!
 TO BE CONTINUED…
(2005.08.13)

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