
ALL MOD CONSと並ぶ代表作、11月発売の4作目。ここでのジャムは自信に溢れ、堂々たるサウンドを聴かせてくれる。1979年に入ってから出したシングル「STRANGE TOWN」C/W「THE BUTTERFLY COLLECTOR」(3月)、「WHEN YOU'RE YOUNG」C/W「SMITHERS-JONES」(8月)もまた最高に良い曲で、この年ジャムは英国No.1グループへの階段をひたすら上昇していたと言える。アルバムからの先行シングル「THE ETON RIFLES」C/W「SEE SAW」は印象的なベースリフと爆発するギター、オルガンも加わった強力チューンで全英チャート3位を記録、いよいよ時は来たのである。
アルバムのテーマとして市民戦争で別れ別れになってしまう3人の親しい友人たち、1人は左派勢力につき、1人は右派に、もう1人はどちらにもつかず政治への不参加を決める、そして争いが集結した後決裂していた3人は再会しようと計画、しかしもう昔には戻れないというストーリーがあるのだけど、それは来たるべき80年代のイギリスの行方を見据えたものだったらしい。相変わらずポール ウェラーの書く詩曲は素晴らしく、ギターはエキセントリックで刺々しく響いてくるけど、今回はリズム隊の切れ味が凄く良い。どっしりとした深い音でありながらもスピード感は抜群だ。特にブルース フォクストンのベースはこれまでもスゲェなと思っていたが、リッケンバッカーからプレシジョンに持ち替えたせいだろうか、硬質ながらも奥行きのある音へと変化している。相変わらずダウンだけで弾いてるドライヴ感も最高!ハイハットの切れはチャーリー ワッツ並のリック バックラーのドラムと共にやはりジャムはこの3人でなければ成立し得なかったと新ためて思う。コンパクトにまとまった楽曲はそれぞれに個性的でどれもキャッチーだが、特に「GIRL ON THE PHONE」からマイフェバリット「THICK AS THIEVES」へと続き、情景豊かな詩とリコーダーの響きが美しい「WESTLAND」で終わるA面の流れはいつ聴いてもシビレるね。ラストはマーサ&ヴァンデラスのカヴァーでフーでも有名な「HEATWAVE」ってのも泣かせるじゃないか。
1979年の秋はロンドンを中心にモッズのリバイバルブームが起きて、ジャムに続けとシークレット アフェアやコーズ、パープル ハーツ等が現れた、個人的には好きなバンドもあったし、それらの先頭にいるのがジャムだという意見も間違いではないけれど、決定的に違うのはジャムは過去に浸る事なく前進を続け、野心を持ってサウンド作りをして行ったという事だ。当人達もブームには距離を置いていた筈、ノスタルジーで終わるか、今日を生きるか、その差は大きい。ジャムのアルバム毎の進化はスリリングだったもの。
ビートルズで言えば『RUBBER SOUL』。少年から青年へと、みずみずしさの中に本物だけが持つ風格を漂わせたアルバム。そして翌年、ジャムはいよいよ日本にやって来る!
追記
思えば1979年という年は俺にとって重要な年だった気がする、この年現れたスペシャルズやプリテンダーズ、スティッフ リトル フィンガーズとかポリスやらジョー ジャクソンなんかを夢中で聴いて、プロミュージシャンを目指したのだった。俺はまだガキだったけど、ガキなりに一生懸命考えていた。そしてこの後、12月には『LONDON CALLING』が出て人生決まってしまったみたいな(笑)そんな年だったんだよ、1979年は。