2006年11月のロックンロール・レコード

[SIDE 39]  STARZ / STARZ(1976)

キッスの所属するロック・ステディ・プロダクションから鳴り物入りでデビューしたのがこのスターズ、キッスの弟バンドとして日本でも当時かなり話題になったものだ。しかもアルバムのプロデュースを手掛けたのはジャック・ダグラス、エアロスミスをトップ・バンドに押し上げた名プロデューサーである。これ以上ないバック・アップを受け、大きな期待を背負って登場した訳だ。キッスとエアロと言えば当時飛ぶ鳥を落とす勢いの2大勢力だったから、俺もかなりスターズには期待していたんだ。
因みにスターズの編成はエアロスミスと同じ、マイケル・リー・スミスのワイルドなVOとツインGが売りだった。1曲目のタイトルからして「DETROIT GIRLS」と来たもんだ!キッスの代表曲に引っ掛けて弟分を強烈アピール、売る気満々の裏事情も見えてくるが、これがカッコ良くて嬉しくなってしまう。ジャック・ダグラスらしい深いリバーブ感を伴った荒々しいライブ的なサウンドはエアロ『ROCKS』と同じ。メロディはキャッチーでサビは明快、コンパクトに纏まった楽曲はどれも魅力的。良くハモるツイン・リードと伸びのある歌声も良い。何だかキッスとエアロの美味しいとこ採りみたいだが実は下積みの長いメンバーの腕は確かである事が判る。VOのマイケルはスター性も兼ね備えていて、更に美形の弟レックスもREXという名前のバンドで少し遅れてデビュー、話題になったんだよ。そして当時は気付かなかったけれど、スターズにはザ・フーの影響を感じる。リフやコードの使い方、ゴリゴリ唸るベース等がそうだ。今日ではパワー・ポップとして再評価されても不思議じゃないと俺は思う。このあたりが今でも聴ける個人的な理由なんだが…
更に翌年発表された2ndの『VIOLATION』も傑作だった!ポップなメロディは益々冴え渡り、音楽趣向も広がりを見せ、もはやキッスの弟バンド等とは言わせない自信に満ちた姿に俺は興奮させられたねぇ。「スターズの時代が来た!あー、来日しねぇかなぁ…」だけど盛り上がってるのは俺だけだったようだ(そんな事ぁ無いと思うけど)。スターズは期待された程セールス的には振るわず、この後迷走し失速して行ってしまう。ジャック・ダグラスがエアロ『DRAW THE LINE』に掛かりっきりだった為、セルフ・プロデュースした3rd『ATTENTION SHOPPERS!』はテンションの低い駄作だった、俺は大いにガッカリしたよ。あんなに最高だった俺のスターズは何処へ行っちまったんだ…とね。
メンバー・チェンジ後の4th『COLISEUM ROCK』も駄目でスターズはとうとう解散してしまったようだ。キャッチーなメロディを持つハード・ロックという意味では後からデビューしたチープ・トリック(1stのプロデュースはジャック・ダグラス!)が大成功を収めた事を考えるとスターズは悲劇のバンドと呼べるのではないだろうか。ずっとCD化もされなかったし、こんな良いバンドが歴史に埋もれてしまっている現実にファンとしてヤルセナイ気持ちだったのだ、俺は。やっと昨年になってRYKOからボーナス・トラック入りでリマスターされ発売されたが、そのCDのパッケージにはMOTLY CRUEのニッキー・シックスによる紹介の言葉が掲載されていた。そう、スターズのダーティでポップなR&Rはモトリー等に確実に受け継がれているのだろう。
(2006.11.05)

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