2007年01月のロックンロール・レコード

[SIDE 41]  OUTLANDOS D'AMOUR / THE POLICE(1978)

パンクからニュー・ウェイヴへ、その時代代を振り返った時、忘れる事の出来ない大好きなバンド。思い入れも大きいよ。1977年にパンクの衣を纏って登場して来たけれど、初めは「ニセ・パンク」故誰にも相手にされなかった。そう、メンバーそれぞれが豊富な音楽的キャリアとバックグラウンドを持った実力者揃いであったからだ。コルトレーンからビートルズまで何でも取り入れるアヴァンギャルド・ジャズのLAST EXITというバンドに居たB&VOのスティング、プログレのCURVED AIRでプレイしていたDrのスチュワート・コープランド、ZOOT MONEY'S BIG ROLL BANDや後期ANIMALS、SOFT MACHINEに在籍した職人ギタリスト、アンディ・サマーズ。決して若い訳ではなかった彼らは成功を目指してグループを結成、新しいリズムを取り入れて斬新なサウンドを構築させた、そのリズムとはレゲエである。初期の名曲「ROXANNE」を初めて聴いた時の新鮮なショックは今でもよく覚えている、確かラジオだったかなぁ。その後すぐにポリス目当てでA&Mのオムニバス『NO WAVE』を買ったけど、ポリスの2曲「ROXANNE」と「CAN'T STAND LOSING YOU」、ジョー・ジャクソンの「IS SHE REALLY GOING OUT WITH HIM?」と「SUNDAY PAPERS」ばかり聴いていた。それらは皆レゲエを取り入れた曲だったからだ。
レゲエ・ミュージック自体はそれまでにボブ・マーレイが話題になった時期に耳にした事があったし、ストーンズやツェッペリンやクラプトンがアルバム中でそれまでにも取り入れてたから聴いた事もあった。しかしポリスのホワイト・レゲエと呼ばれた音は何故か凄く新しかったのだ。ストーンズのレゲエはブルージーで粘っこく、ツェッペリンのそれはボンゾの叩き出すビートのせいか重々しいモノだった。クラプトンのは南部風スワンプ・ロック的だったな。しかしポリスのこのスカスカで風通しの良い音はなんだろう?リズムの切れは鋭く、タイトで力強い。そして哀愁を帯びたメロディ…。パンク・ロックの登場以来レゲエはパンクと密接な関わりを持ったレベル・ミュージックとして新たに認知され、パンク・バンドとレゲエのミュージシャンが一緒にライヴをやっているなんて話が海の向こうから伝わってきたものだ、そう、遥か遠くのロンドンから。この事実は大きな意味を持っていたんだよ、俺にとって。こうしてパンクと同時期にレゲエにのめり込んだ俺だったのだ。そんな時にタイムリーに出会ったポリスにはロック・バンドがどのようにレゲエを取り入れ、時に解体させ、ポップ・ミュージックとして昇華させるのかというテーマを与えて貰い、また学ばせて貰った。彼らのオリジナル曲はメロディも良く構成も判りやすい優れた楽曲ばかりだったからだ。その意味ではクラッシュの1st収録「POLICE&THIEVES」より遥かにとっつき易くもあったという訳である。
ポリスのアルバム毎の進化は凄まじく、リズム・アプローチは冴え、楽曲の充実ぶりにも素晴らしいものがあった。あっという間に世界的な人気バンドになってしまったし、日本でもアイドル的な人気ぶりだったと思う。だけどバンドをやってる俺のような男どもからも熱い視線を送られていたはずである。
ポリスがレゲエのリズムへアプローチしたのは飽くまでも目新しいアイディアとしての方法論だった。それはラスタ信仰等とは無縁のものだったし、その計算し尽くされた、まさに「売れ線」の音は時に批判も受けたものだ。ジョー・ストラマーはインタビューでレゲエとパンクの関わり方について「ジャマイカの文化やラスタの精神に敬意を払ってカヴァーする事と、ただ方法をかっぱらう事とは全く違うんだぜ、判ったかスティングよ!」と言っていたのを覚えている。いかにもジョーだ…(笑)。
しかしホワイト・レゲエを確立し、広く世の中に浸透させたポリスの功績は大きいし、そのサウンドは今でもスチュワートのカミソリのようなハイハット・ワークと共に俺をシビレさせてくれる、これもまた事実なのである。
(2007.01.31)

もどる / バックナンバー一覧へ
build by HL-imgdiary Ver.1.24