2007年08月のロックンロール・レコード

[SIDE 45]  PHYSICAL GRAFFITI / LED ZEPPELIN(1975)

ハード・ロック史上最も大きな成功を収めたバンド、レッド・ツェッペリン。正直言ってその存在が俺にどれ程の影響を与えたかについて、語り出したらそれこそ枚挙に暇がない。キッスだエアロだパープルだと言ってきたけどハード・ロックで本当に1番好きなグループはツェッペリンを於いて他にない。どれ位好きかと言えば、例えばオールタイム・ベスト・アルバムを5枚選べと問われたら5枚全てツェッペリンのアルバムをチョイスする事も可能な程なのだ。彼らのアルバムは1枚毎にサウンドの質感や個性が異なる傑作ばかりなので好きな1枚を選ぶのは非常に難しい。(それはビートルズに対しても同じ事が言えるのだが…)個性的でクオリティの高い楽曲、ハード・ロックの枠に捕われないオリジナリティ、期待を裏切るような意外性、そんな所が彼らの大きな魅力であり歳月に風化される事のない普遍的なロックとして、人々を魅了し続ける所以なのだと思っている。
ビートルズを入口にロックにのめり込んだ俺が、より刺激的な音を求めてハードロックに向かったのは極自然な成り行きだった。何せこちら欲求不満の中学生、耳をつんざくエレキ・ギターに爆発するサウンド、聴きたいのはただそれだけだったと言って良い。1974年の事だ。ディープ・パープルやGFR、デビューしたばかりのクィーン等はそんな俺のカタルシスを満たしてくれる重要なバンドだったけれども、ハード・ロックの世界にはもっと凄い王者と呼ばれているグループが居るらしいと知った。風変わりなレッド・ツェッペリンという名のそのバンド、その実体を知る手掛かり等何も無かった。マメにチェックしてたつもりのラジオで流れる訳でもなく、雑誌に特集記事やインタビューが載る訳でもなかったから。レコード屋に行ってジャケを眺めてみたが何やらヘンテコなデザインで、穴の開いた植物図鑑に丘を上る裸の子供、薪を背負った爺さんの絵がこちらを見ているだけだった。メンバーが火の玉になって飛んでたり熱狂のステージの様子とかが写ってたら判りやすかったんだけどねぇ… 中学生の小遣いじゃLPなんて滅多に買えない訳で、リスクを冒してまで手を出すのは余りに危険に思えた。 後から判った事だけどツェッペリンはマスコミ嫌いで滅多にインタビューに答える事がなく、またこの1974年にはニュー・アルバムの発表もツアーも無かったから露出は極めて少なかった様だ。そんな訳でメンバーの編成すら何も判らないまま1975年へと時は流れたのだった。
この年、2年ぶりにやっと動き出したツェッペリンが発表したのが6枚目の『フィジカル・グラフィティ』、シングル・カットの「TRAMPLED UNDER FOOT」が出会いの1曲だった(勿論、ラジオで)。すぐシングル盤を買いに行ったらジャケには絵に描いたようなロック・スターが2人写っていた、片や金髪、一方は黒髪。まるで少女漫画の主人公みたいに足が長くてカッコ良い!俺はショックを受けた。2人組?… いやいやバンドだろ、たぶんたぶん… 肝心のその曲だが、当時気に入ってたスティービー・ワンダーのシングル「迷信」とか「悪夢」に似た印象を受けたかなぁ、すぐ気に入ったよ。その頃はよく判らなかったけど、それは所謂"FUNK"との出会いでもあったのだ。俺としてはやっと訪れたツェッペリンの実体を掴むチャンスを逃すものかと、2枚組だろうがアルバムを買うのに躊躇する事はなかった。王者のハード・ロックとはどんなにスゲェのかと期待して針を落としたのだが…出てきたのはドッスンバッタンと響く重いドラムスとひしゃげたギター・リフに甲高い歌声だった…『?』これが正直な感想、ハイウェイをぶっ飛ばしてそのまま空まですっ飛んで行くような爽快で直線的なハードロックとは異なる、ウネリがあって、地響きを起てて進む戦車のように強力な音だった。始めは大いに戸惑ったんだけれど時間を掛けてじっくり聴いているうちに俺はすっかり彼らの虜になってしまったようだ。2枚組という事もあって曲はバラエティに富んでいて面白かったし、ハード・ロックに固執しない彼らの嗜好も何となく理解出来た。様々な音色を使い分けるジミー・ペイジのギターは特に印象深いものだった。これも後から知った事だが、このアルバムは半分が新録音で残りは過去のアルバムのアウトテイクで構成されている。だから曲によってロバート・プラントの声質が違うし、サウンドも異なる。だからこそのバラエティと聴き応えなのだが特に新録の8曲は素晴らしい。中期を代表する「KASHMIR」や「IN MY TIME OF DYING」等それまで聴いた事のない音で、中学生のイマジネーションにまったく新しい景色を見せてくれた。「IN THE LIGHT」のギターソロの重ね方や「THE WANTON SONG」のメロウに展開するパートに於けるレズリー・スピーカーを通したフレーズなんて今でもゾクゾクするよ。ツェッペリン特集、暫く続けます!
(2007.08.27)

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