2008年06月のロックンロール・レコード

[SIDE 53]  WHO'S NEXT / THE WHO(1971)

THE WHOの来日が決定した!前回、2004年のイベントでの初来日を見逃してしまい、もう2度と観られないのでは?と死ぬほど後悔した俺にとってはまさに狂喜するほどのニュースだった。しかも今回は単独公演、往年の名曲がたっぷりと聴ける事だろう。「MY GENERATION」、「THE KIDS ARE ALRIGHT」、「PINBALL WIZARD」、「5:15」、「WHO ARE YOU」…あー、待ちきれねぇ…とりあえずは11/16のさいたまスーパーアリーナ公演まで指折り数えて待つ事にしよう。
さて、ザ・フーと言えばこの『WHO'S NEXT』。ロック・オペラ『TOMMY』と並びザ・フーの、いや全てのロック・アルバムの中でも最重要作にして最強のアルバムであると言ってしまいたい。
R&Bを基調としたモッズのリーダー的グループとしてスタートした彼らだが、1968年のストーンズが企画したTVショウ「ロックンロール・サーカス」や伝説の1969年ウッド・ストック・フェスティバルを経て70年代始めまで、史上最強のR&Rバンドへと成長し、その座に君臨していたザ・フー。そのパワーを捉えた見事な作品で、何百回と繰り返し聴いてきたが、今でも聴く度に気持ちは高揚し、心は何処までも高く高く昇って行くような気持ちになってくる。これはどういう事なのだろう。
ザ・フーの魅力はその破天荒なパワーに留まらず、同時に緻密に計算された繊細な演奏をも聴かせる各メンバーの高度なテクニックとオリジナリティに裏打ちされたサウンドにある、すぐにザ・フーだと判る強烈な個性を持っているのだ。またオペラ仕立の複雑なストーリーを組み立て、シリアスなメッセージを聴き手に投げかける知的な一面もある中々深いバンドでもある。そんな魅力が一番バランス良く提示されたアルバムと言えるのではないか。
1970年代、日本では人気も知名度も圧倒的に低かったザ・フー、俺もその意味では遅れてきたファンだった。ザ・フーの存在が強烈に印象に残ったのは、映画「ウッドストック」を見た高校生の時である。長い映画だったため、途中退屈してきて映画館の中でウトウトしていた俺の耳と眼に突然彼らは現れ、サウンドを叩き付けてきた。跳び上がり腕を振り回し、チェリーレッドのSGスペシャルを宙に放り上げるピート・タウンゼントの勇姿には物凄いショックを受けたものだ。彼らはまさしくロックを体現していた!
暫くしてパンク・ムーブメントが起こり、ザ・フーこそゴッド・ファーザー・オブ・パンクと呼ばれるようになり、1979年のドキュメンタリー映画「キッズ・アー・オールライト」を観てザ・フーに対する気持ちは決定的なものとなった。いや勿論『QUADOROPHENIA』を映画化した「さらば青春の光」も最高だったけれど…。
この「キッズ・アー・オールライト」があったからこそ今の自分があり、ここに、このステージに立ち続けている、そう思える位俺にとっては大事な映画なのだ。この映画に収められたデビュー当時から1978年までの圧倒的なパフォーマンスの数々と「ロックとは大音量で鳴らしてこそ」とのピートの言葉は今もこの胸に刻み込まれている。
キース・ムーンとジョン・エントウィッスルまでもが亡くなってしまった今、あの4人でしか出し得なかったサウンドは変化したとしても、あの名曲達を生で聴ける事に俺は興奮している。名曲揃いのこのアルバムからだと「BABA O'RILEY」だろ、「BARGAIN」もやってくれないかなぁ、「SONG IS OVER」も渋いねぇ、「BEHIND BLUE EYES」は絶対やって欲しいぞ、極めつけは「WON'T GET FOOLED AGAIN」これぞザ・フーだ。あのゾクゾクするような力強いイントロが眼の前で始まったら…感動するだろうなぁ、泣けてくるかもな。そしてサビは当然一緒に歌う、一番好きなライン「PICK UP MY GUITAR AND PLAY,JUST LIKE YESTERDAY」の所は更に大声になるな、たぶん、いや絶対!名曲ってのは時間も、作った本人はおろか聴いてきた人間の青春やら挫折やら、人生さえも軽々飛び越えて輝き続けるんだからさ。
(2008.06.27)

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