Rock'n' Roll Records
◆[SIDE 104] PRESENT ARMS / UB40 (1981)
いちロックファン、リスナーとして定期的にやってくるマイブーム。

ビートルズやストーンズは言うまでもなく、かつて熱心に聴いた70年代ハードロックだったり、60'sビートだったり、はたまたプログレだったりと気分で様々に変わる訳だが、このところはもっぱら80'sである。


1980年代のミュージックシーン。


パンクエクスプロージョンからの流れを受けて突入した新しいディケイド、俺には全てが新鮮で刺激的だった。特に興味が湧いたものそれはレゲエでありダブだった。


その頃パンクと密接に結び着いた「REBEL MUSIC」としてレゲエはより一層身近な存在となっていたから。


勿論ボブ・マーリィやジミー・クリフは知っていたさ。元ウェイラーズのピーター・トッシュのアルバムはストーンズのレーベルから発売されたし、キースなんてこの時期レゲエ関係のTシャツばかり着ていたしね。

1974年頃だろうか、「新しいブラック・ミュージック」

としてレゲエはちょっとしたブームとなり注目されたものだ。

でも俺はスルーしていたな、当時は。

だってエリック・クラプトンの「I SHOT THE SHERIFF」なんて退屈で最悪だったもの。


俄然興味が湧いたのはクラッシュだったりジョニー・ロットンだったり、

言うまでもなくパンクの影響である。それしかない。


このUB40はこの時期夢中で聴いたレゲエ/ロックバンド。

有名なエピソードだがバンド名の由来は失業者手当申込み用紙の書籍番号から採られており、ファースト・アルバムのジャケットを飾ったのはその申込み用紙そのものだった。


ファーストも衝撃的なカッコ良さだったが、更に力強さを増したこのセカンド・アルバムも大好きだ。


スネアによるマーチングドラムの静かなフェイドインから一転、掛け声と共に一気にスタートする「PRESENT ARMS」のイントロで鳥肌が立った。勇ましいブラスのフレーズが最高だ。

この曲と続く「SARDONICUS」

のクールな対比、このアタマ2曲の流れが良いのだよ。


UB40はジャマイカからの移民が多く暮らす工業都市バーミンガムの出身で、メンバーは幼馴染みらしく、イギリスの白人とジャマイカン2世の黒人から成る人種混合バンド。

彼らの歌にはラスタファリズムもJAHの神も出て来ない。代わりにあるのは失業で苦しむ労働者階級ならではの視点だ。

イギリスの実情と当時のサッチャー政権に対する不平や不満、移民として受けて来た抑圧や人種差別問題、そういったものがテーマのようである。

それはまさにパンクバンドのそれと同様だと言えるだろう。

だからUB40の事は単なるレゲエバンドではなく「レゲエ・ミュージックをプレイするロックバンド」、そういう印象が当時にはあった。


そんなヘヴィなメッセージをテーマにしながらもUB40のサウンドは非常に洗練されたもので、ドリーミーな甘ささえ感じる。これが彼らの決定的な魅力でもあるのだろう。

流麗なメロディと柔らかい歌声。同時に内に情熱を秘めた青白い炎のようにクールなレゲエビート。これに夢中になった。

このUB40と一緒にこの時期「ブリティッシュ・レゲエ」と呼ばれたグループがある。

アスワド、スティール・パルス、マトゥンビ、といったグループだが、皆一様に緊張感のあるレゲエを演っていたな。


これらのグループの出す音は素晴らしい手本となった。つまり、日本人の俺もレゲエ・ナンバーを作ったりプレイ出来る事は可能なんだ、という意味において。


レゲエやダブだけでなく、'80年代のロックに受けた影響は大きく、それが今日の自分を作り上げたのかも知れない。そんな風に思う。

少し大げさだが自分のギタリストとしての個性だったりスタイルだったり、曲作りにおける作風に80'sの音楽は大きな影を落としている事は間違いない。


その辺りも含めて、これから暫くは80'sに的を絞って書いて行こうかな、と思っている。


では、また次回に続く、、、

という事で。

(2017.04.17)
◆[SIDE 103] BLUE&LONESOME / THE ROLLING STONES (2016)
渋さや円熟とは無縁な音。

全編に渡って粗削りでエネルギッシュなブルースナンバーが鳴り響くストーンズの新作。

平均年齢72歳のR&Rバンドが放つこの熱気にハートを揺さぶられた。


ニューアルバムの噂は1年以上前から上がっていた。ソロ・アルバム発売時に、ストーンズのレコーディングもやるからとか何とか、キース・リチャーズもインタビューで言ってたし。

ここに来て御大達の何と精力的な事だろう…!

なんて喜んでいたものだった。


そんな中で出て来た情報が新作はブルースのカヴァー集だというニュース。それを聞いた時、「なんだ、オリジナル曲は聴けないのかぁ…」と正直肩透かしを食らった気分がしたものだが、そんな想いなど何処へやら、だ。


このアルバムは全てのストーンズ・ファンを満足させるカッコ良さで占められている。

そもそもローリング・ストーンズというバンドはマディ・ウォーターズやハウリン・ウルフ、ジミー・リードらのシカゴ・ブルースのカヴァーから始まったバンドなのだから。


デビューから53年が経過し、再びファースト・アルバムに返ったが如く嬉々としてブルースナンバーをプレイしているメンバー達。

そのサウンドからはミックやキース、ロニーにチャーリーの溌剌とした姿が透けて見えるようだ。


アルバム・オープナーの「JUST YOUR FOOL」が鳴り出した瞬間から思わず身体でリズムを取りたくなる抜群のノリ、これが素晴らしい。

更に録音は僅か3日間との事で、ほぼ一発録りだろう。ラフこの上ないまさにストーンズ流でこの感じがまたたまらない。


振り返ればストーンズはここ数年、2014年の「14 ON FIRE」ツアー、昨年はアルバム『STICKY FINGERS』の再現ライヴを含む「ZIP CORD」ツアーやら、今年話題になった「DESERT TRIP」と、なんだかんだと途切れる事なく演奏活動を続けていたのだった。

そんな「ライヴ・バンド」ストーンズの現在の充実振りが見事に反映された作品とも言える。


そしてミック・ジャガーだ。

今作品の主役はミック・ジャガーその人に他ならない。気合いが入っている。

この73歳のヴォーカリストの歌とハーモニカ、このカッコ良さは一体どうなっているんだろうか?!

テンションが上がって時にうわずったり声がひっくり返りそうになってもお構いナシな歌いっぷりだ。


こんな話もある。

ミックは13年間に渡り付き合っていた恋人、ローレン・スコットを「14 ON FIRE」ツアー中に亡くした。打ちひしがれたミック、暫くツアーは延期になった。

そのショックがミックの心をブルースへと向かわせた、と。


この歌からほとばしる感情の昂まりは亡きローレンに捧げるものなんだろうか。


よく言われるように、ミック・ジャガーはローリング・ストーンズの現役性に拘る人だ。流行りには人一倍敏感で新しいサウンドアプローチなどを積極的にバンドに持ち込んで来た。

その貪欲さはアーティストとして立派な姿勢だと感服するが、こんな歌を聞かされては、やはりこの人の核はブルースなんだな、と思わずにはいられない。

そう、ブルースを歌うミックこそが自然な姿である。


なんでも、レコーディングには13本ものブルースハープを用意して臨んだらしい。

もっともハープにはそれぞれキーがあるからある程度の数は必要と思うけれど。



またヴィンテージ・ギターやアンプをズラッと並べてプレイしたであろうキースとロニーの絡みもいつもながら楽しい。


ハイライトはリトル・ウォルター作の「I GOTTA GO」あたりか。ワイルド極まりないハープが暴れまわる。

ワンコードでバンドがグイグイ攻める「HATE TO SEE YOU GO」もイイ!


そしてこのブルース集にピッタリなゲスト、エリック・クラプトンのギターが2曲で華を添えている。

公式にエリックがストーンズのスタジオ作にゲスト参加するのは何とこれが初との事で、これは意外だった。

レッド・ツェッペリンのファーストでお馴染みの「I CAN'T QUIT YOU BABY」ではエリックの素晴らしいソロを堪能出来る。

それにしてもストーンズの偉大さは勿論として、同時に思い知らされたのがレッド・ツェッペリンの革新性である。ツェッペリンがいかにブルースをベースにして、それを規格外のパワーと爆発力でもってぶち壊し、新しいロックを創り上げたか。

オーソドックスなブルースナンバーのこの曲を聴きながら改めてそれを思ったね。


今作とは別にオリジナル曲による新作も既に半分ほどレコーディングが終了、なんて嬉しいニュースも聞こえてくるが、今はこのカッコ良いカヴァー・アルバムを存分に楽しもうと思う。

(2016.12.14)
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